若いうちに資産形成を始めると、旅の選択肢は増えるのか
INVEST · 情報基準日 2026-06-02 · 約4,500字 · 約9分
マイル:「資産形成って、老後のためにするものじゃないの? 旅行と何の関係があるの?」
ポルト:「老後のためだけではないのじゃよ。途中の選択肢が変わる。それが大事なのじゃ。」
執事H:「整理いたしましょう。資産形成の進み具合と、旅行という選択肢の関係を考えてみます。」
「老後のため」だけではない、という話
新NISAや iDeCo の普及で、「資産形成をしなければ」という意識は高まっています。ただ多くの場合、その文脈は「老後のため」「65歳以降のため」という枠の中に収まっています。
確かに老後資金は大切です。ただ、資産形成の効果は老後だけに現れるわけではありません。
30代で資産形成を始めた方と、45歳から始めた方では、55歳時点の資産残高に大きな差が出ます。その差は「老後の安心感」だけでなく、「今のライフスタイルの自由度」にも影響します。
「旅の選択肢が増えるか」という問いへの答えは、この「途中の自由度」に関わります。
複利という仕組みと旅行への影響
投資における複利効果は、「運用益がさらに運用される」という仕組みです。早く始めるほど、同じ積立額でも将来の資産規模が大きくなりやすいです。
ここでは、あくまで仮の試算として考えます(実際の運用結果は市場環境により大きく異なります。元本割れリスクもあります)。
仮の前提条件:
- 月3万円積立、年率5%の運用益(実際の運用益は保証されません)
- Aさん: 25歳開始
- Bさん: 35歳開始
- 比較時点: 両者が45歳になった時
45歳時点でのAさんの積立総額は約20年分(240ヶ月)。Bさんは10年分(120ヶ月)。同じ月3万円でも、運用期間の差により資産残高に差が出ます。
この差が大きいのは積立期間の2倍という事実だけでなく、複利が積み重なる年数の違いです。仮に年率5%という条件が続いたとすると、Aさんの45歳時点の資産はBさんの2倍以上になる計算が出ます(あくまで仮定の試算)。
旅行への影響はここに関わります。45歳時点でAさんの資産が多い場合、「旅行費用を資産から捻出する」という選択肢の実現可能性が変わります。
執事H:「繰り返しになりますが、投資には元本割れリスクがあります。この試算はあくまで複利の概念を説明するための仮定であり、実際の運用結果を保証するものではありません。」
「旅行の選択肢が増える」とは何か
では「旅行の選択肢が増える」とは具体的にどういうことか。3つの側面から整理します。
1. 費用的な制約が緩む
資産が積み上がっていると、旅行費用を「毎月の収入から出す」のではなく「資産の一部から出す」という選択肢が生まれます。
収入依存だと、「今月は出費が多かったから旅行は来月以降」という制約がかかりやすい。資産があると、「今旅行したい、資産から少し動かせばいい」という選択ができます。
ただしこれは「資産を切り崩して旅行する」という話ではなく、「配当収入の一部を旅行に充てる」「含み益の一部をタイミング良く利用する」という設計の話です。
2. タイミングを選べる
資産形成が進んでいると、「この時期に旅行したい」というタイミングを選びやすくなります。仕事の都合は変えられなくても、費用面での「その時期には無理」という制約が薄まります。
3. グレードの選択肢が広がる
エコノミーしか選べなかった状況から、「この旅行だけはビジネスクラスにしてみる」という選択ができるようになる。これも資産の積み上がりの一つの応用です。
マイルと資産形成の並走設計
マイレージ・ポートフォリオ社が「ポートフォリオ」という言葉を使っているのは、マイルと資産形成を別々のものとして考えるのではなく、人生における配分の問題として捉えているからです。
では実際に、並走設計はどうするのか。
ステップ1: 新NISAの枠を先に確保する
資産形成の土台として、新NISAのつみたて投資枠(年120万円)は優先度が高いです。長期で運用することで複利効果が働き、また非課税という制度上のメリットがあります。
まず月数万円からでも、このステップを始めることが最初の土台になります。
ステップ2: クレカ積立でマイルも積む
SBI証券や楽天証券では、クレジットカードで投資信託の積立ができます。この「クレカ積立」では、積立額に応じてポイントが付与されます。
そのポイントをANAマイルやJALマイルに転換するルートが存在しますが、転換率・条件は各プログラムにより異なります。最新情報は各社公式サイトでご確認ください。
資産形成を続けながら、マイルに近い資産も同時に積み上げる——という設計の入口です。
ステップ3: 配当収入を旅行費用の一部にする
高配当ETF(例えば国内の日本株ETFや米国の高配当ETFなど)を長期保有すると、定期的な配当収入が生まれます。この配当を「旅行積立」として使う、という設計を持つ方がいます。
配当収入を旅行に使うことは、元本を取り崩すのとは異なります。「資産は保ちながら、生む利益の一部を体験に使う」という考え方で、「資産形成 vs 旅行」という二択を超えた設計が可能になります。
ポルト:「配当金を全部再投資するのが「正解」とは限らない。一部を体験に使うことで、人生の豊かさが増すなら、それもポートフォリオの設計じゃ。」
「若いうちに始める」の意味
「若いうちに資産形成を始める」とよく言われますが、それが旅行にどう影響するかを整理すると、2つの経路があります。
経路1: 早期の複利効果による将来資産の増加 早く始めた分、同じ期間・同じ積立額でも資産が大きくなりやすい。将来の旅行設計の自由度が上がります。
経路2: 早期から「旅行費用の出し方」の設計が変わる 資産形成の習慣が早くからあると、「毎月の収入から全部使う」のではなく「収入のうち投資に回す部分を確保する」という基本習慣ができます。その習慣があると、旅行費用の確保も計画的になりやすい。
この2つは両方が、旅の選択肢を広げる方向に働きます。
「旅行 vs 資産形成」は本当に対立するのか
「旅行にお金を使うと、資産形成が遅れる」という考え方は一面では正しいです。同じ100万円を旅行に使えば、投資には回せません。
ただし「旅行費用を確保するために資産形成を止める」ではなく、「資産形成の枠を先に確保し、その外で旅行費用を設計する」という発想を持つと、競合しません。
毎月の収入から:
- NISA積立 → 投資信託(長期)
- 日常支出 → マイルの積み上がり(クレカ利用)
- 旅行積立 → 毎月一定額をプール
この3系統を並走させることで、「旅行のために投資を犠牲にしている」わけでも「投資のために旅行を我慢している」わけでもない状態が作れます。
マイル:「じゃあ競合してないじゃん。設計次第で両方できるってこと?」
執事H:「できます。ただし前提として、月収に対して積立・旅行・日常費用のバランスが成立していることが必要です。どちらを先に設計するかと言えば、投資の枠が先です。」
1階層目から始める——まず月1万円
「若いうちに始める」ことの最初のハードルは、「まず始める」ことです。
新NISAのつみたて投資枠は月100円から始められる証券会社もあります。「まず月1万円のオルカン積立を始める」だけでも、資産形成のスタートになります。
その後、収入が増えたり生活費が安定したりするにつれて積立額を上げていく——この段階的な積み上げが、若いうちから始めることの本質です。
最初から完璧な設計でなくていい。「始めていること」と「始めていないこと」の差が、10〜20年後に大きな差となって現れます。
まとめ
「若いうちに資産形成を始めると、旅の選択肢は増えるのか」という問いへの答えは、増える可能性が高い、です。ただしその理由は「老後に余裕ができるから」だけでなく、「途中の選択肢が変わるから」という側面があります。
- 複利効果により、早期開始は同じ積立額でも将来資産が大きくなりやすい
- 資産が積み上がると、旅行費用の「出し方の選択肢」が増える
- クレカ積立で資産形成しながらマイルも積む並走設計がある
- 配当収入の一部を旅行費用に充てる設計で「資産形成 vs 旅行」を超えられる
まず土台を作ること。その上にマイル設計を乗せること。旅の選択肢は、その積み上げの結果として広がります。
MP判定
| 軸 | 評価 |
|---|---|
| お金の合理性 | ★★★★★ — 資産形成の早期開始は数字として合理性が高い |
| 人生の快適性 | ★★★★☆ — 将来の選択肢が増えることへの満足感は大きい |
| 自由度アップ | ★★★★★ — 旅行の選択肢と資産形成を両立できる設計の入口 |
おすすめ度: 「資産形成は始めているけど旅行には関係ない」と思っている方、または「旅行したいけど資産形成との両立が難しい」と感じている方に向く記事。
参考になる一冊
長期投資と生活の豊かさのバランスについて考えたい方には以下が参考になるかもしれません。
本書は参考情報として紹介しています。投資判断は自己責任でお願いします。
本記事の情報は2026年6月2日時点のものです。投資には元本割れリスクがあります。本記事は情報提供を目的としており、投資勧誘を目的とするものではありません。投資判断は自己責任でお願いします。新NISAの制度・条件は改定されることがあります。最新情報は金融庁・各証券会社の公式サイトでご確認ください。
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