JGCとSFC、両方持つマイラーが増えている3つの理由
TRAVEL · 情報基準日 2026-05-25 · 約4,500字 · 約9分
「SFC を持っているけど、JGC も取りたいんだよね」
マイル界隈でこの会話が増えているとされています。ANA SFC が2028年4月から「年300万決済(SFC PLUS)」「未満はSFC LITE」の2区分に移行することが発表されて以来、片方だけに頼るリスクを意識する動きが出てきたように見えます。
ただ、「両方持てばいい」は言うのは簡単です。実際には 年会費・取得コスト・維持の複雑さ を整理しないまま動くと、年間数万円の固定費だけが積み上がるパターンになりかねません。
本稿では、JGC と SFC を両方持つ選択肢を 数値と構造で整理します。
マイル:「SFC 持ってるのに JGC も取るって、コスト倍になるってこと?」
執事H:「お嬢様、一口に『倍』とは申せません。取得コスト・維持年会費・ステータスの重複恩恵を分けて整理いたしますと、見え方がかなり変わってまいります。」
ポルト:「どちらか1本を深く育てるのと、2本を持ち合わせるのとでは、資金の使い方の設計が根本的に異なる。まず構造を見てから判断じゃ。」
なぜ「両方持つ」という選択肢が生まれるのか
当社の見立てでは、JGC + SFC 両方持ちが話題になっている背景には 3つの構造的な理由 があると考えています。
理由1:SFC PLUS の維持条件が「年300万決済」に変わる
2028年4月以降、SFC は「PLUS」と「LITE」に分かれます。PLUS を維持するには年間ANAカード+ANA Pay決済 300万円が必要です。
この条件が負担になる場合、JGC なら年会費だけで上級会員を維持できるという軽さが対比として際立ちます。
ただし注意が必要なのは、「SFC LITE では JGC と特典が重なる部分が増える」 という点です。SFC PLUSの特典が目当てであれば、JGC を追加する意味は高まります。SFC LITE 許容の方がJGCを追加しても、特典の差分が費用を上回るかは個別の利用実態によります。
理由2:JGCは「取得の壁が重く、維持の壁が軽い」逆向き構造
JAL JGC は今、取りに行く価値があるか で整理したとおり、JGC は取得に LSP 1,500累計が必要なため取得の重さは SFC より大きいとされています。しかし取得後の維持は年会費のみです。
SFC は取得スピードが速い反面、2028年以降は維持に年300万決済という継続的な負荷がかかります。
この「取得と維持の重さが逆向き」という構造から、
- SFC で「取る」を早く終わらせ → JGC は「のんびり積み立てて取り、維持を楽にする」
という組み合わせを設計する考え方が出てきます。
理由3:スターアライアンスとワンワールドの両方をカバーできる
SFC は ANA の上級会員 = スターアライアンスのゴールドメンバー相当。JGC は JAL の上級会員 = ワンワールドのサファイアメンバー相当です。
海外フライトで使うアライアンスが旅程によって変わる場合、どちらのアライアンスのラウンジも使える状態は一定の利便性があります。
ただし、「ラウンジを実際に年何回使うか」によって金銭的な意味はまったく変わります。JGC修行 2026年の費用対効果を10年で割ってみた で試算したとおり、年2回以下のラウンジ利用では、追加コストを現金回収するのは難しい水準です。
年会費比較表 —— 組み合わせ別の最低年間固定費
当社が想定する主な組み合わせを表にします(2026-05時点・税込・あくまで最低ラインの年会費のみ)。
| 組み合わせ | JGC側カード | SFC側カード | 年会費合計 |
|---|---|---|---|
| 最安 | JALカード CLUB-A(11,000円) | ANAカードワイド(7,975円) | 18,975円 |
| 標準 | JAL CLUB-Aゴールド(17,600円) | ANAワイドゴールド(15,400円) | 33,000円 |
| プレミアム | JAL CLUB-Aゴールド(17,600円) | ANAプラチナプレミアム(88,000円) | 105,600円 |
| SFC PLUS 最適 | JAL CLUB-Aゴールド(17,600円) | ANAカードワイド(7,975円) | 25,575円 |
- ANAカードワイドはSFC保有後のカード継続として安価。ANAプラチナプレミアムはSFC PLUS 300万決済に向いているが高額
- 年会費はカードブランド・提携先によって変わります。上記は一般的な水準での編集部参照値です
「両方持ちの最低年会費は年約19,000円、標準では年約33,000円——この固定費が、10年で19〜33万円になります。この数字を先に受け入れられるかどうかが、判断の出発点です。
取得難度マトリクス —— 短期/長期 × 取得/維持
| 短期集中(1〜2年) | 長期分散(3〜5年) | |
|---|---|---|
| SFC 取得 | ○ 可能(単年度プラチナ集中) | ○ 可能(日常+修行混在) |
| SFC 維持(PLUS) | ※ 継続的に年300万決済が必要 | ※ 同左 |
| JGC 取得 | △ LSP単価が高くなりやすい | ○ 日常決済+フライトで分散 |
| JGC 維持 | ○ 年会費のみ | ○ 同左 |
- SFC 取得の短期集中は、運賃の変動や空席状況に依存します
- JGC の長期分散はショッピングLSP・JAL Pay LSPを活用することで修行フライト依存を下げられるとされています
10年累計コスト試算 —— 「両方持ち」の現実的なコスト
ここが本記事のHP独占パートです。「両方持つ」の10年コストを、年会費 + 取得修行費用 で試算します。
試算の前提
- JGC 取得: 修行費用 200万円(中央値。JGC修行 2026年の費用対効果を10年で割ってみた 参照)
- SFC 取得: 修行費用 150万円(短期集中・国内線ルート中央値)
- JGC 維持: CLUB-Aゴールド年会費 17,600円/年 × 10年 = 176,000円
- SFC 維持 PLUS: ANAワイドゴールド相当 15,400円/年 × 10年 = 154,000円 ※300万決済の機会費用は試算対象外
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| JGC 修行費用(初期) | 2,000,000円 |
| SFC 修行費用(初期) | 1,500,000円 |
| JGC 維持年会費 10年 | 176,000円 |
| SFC 維持年会費 10年 | 154,000円 |
| 10年累計コスト合計 | 3,830,000円 |
「両方持つ」の10年累計コストは、当社の中央値試算で約383万円になります。
これに対して得られる恩恵の試算は、JGC修行 2026年の費用対効果を10年で割ってみた での「年間恩恵 約35,000円(年4回ラウンジ利用)」を2社分に拡張するとして、年約60,000〜70,000円が上限付近の試算です。
10年累計恩恵 約60〜70万円 vs 取得・維持コスト 383万円 ——この差は 現金キャッシュフローでは回収が難しい水準です。修行で貯まるマイル(JGC+SFC両方で合計200,000〜300,000マイル前後)を特典航空券に使えると計算が大きく変わりますが、それでも「投資として合理的か」は厳しい問いになります。
執事H:「ここまで数字をご覧になって、どのようにお感じでしょうか。」
マイル:「うーん。コスト重いね……でも、両方持ちって体験価値的には最高じゃないの?」
ポルト:「そこが論点じゃ。体験価値を数字に換算できないまま『両方持てばいい』と進む人が、10年後に『こんなに払ったのか』と驚くパターンは少なくないとされている。納得して払うか、合理的に払うか——どちらかに振り切っていないと、どこかで後悔が来る。」
SFC PLUS の年300万決済と JGC の相性
2028年4月以降、SFC PLUS を維持するには ANAカード + ANA Pay で年300万の決済実績が必要になります。
このとき、JGC側のJALカードへ支出が分散すると、SFC PLUS の300万決済に向けた集約が難しくなるという現実問題が生じます。
当社の見立てでは、
- 両方持ちを目指すなら、SFC PLUS 側のANAカードへの集約を先に設計する
- JGC のカード決済はあくまで「維持の年会費のみ」と割り切り、日常決済はANAカード一本に寄せる
この設計が現実的です。JGCカードで日常決済をしながらSFC PLUS の300万も達成しようとすると、両方が中途半端になる可能性があります。
「両方持ち」が向いている人・向いていない人 MP判定★
MP判定: JGC + SFC 両方持ちの自由度評価
【向いている人】
- 出張・旅行が年20回以上(国内8〜10回 + 国際2〜4回)
→ 合理性 ★★★★☆ / 快適性 ★★★★★ / 自由度 ★★★★★
- ANA・JAL どちらも使う路線がある(ANA強い路線 + JAL強い路線の両方)
→ 合理性 ★★★☆☆ / 快適性 ★★★★☆ / 自由度 ★★★★☆
- SFC PLUS の年300万決済を既に達成している余力がある
→ 合理性 ★★★★☆ / 快適性 ★★★★☆ / 自由度 ★★★★★
【向いていない人】
- 年間フライトが5回以下
→ 合理性 ★☆☆☆☆ / 快適性 ★★☆☆☆ / 自由度 ★★☆☆☆
→ 年会費の固定費が恩恵を上回る可能性が高い
- SFC PLUS の300万決済をようやく達成できるレベルの支出規模
→ 合理性 ★★☆☆☆ / 快適性 ★★★☆☆ / 自由度 ★★★☆☆
→ JGCカードへの支出分散でSFC PLUS 達成が不安定になるリスク
- どちらか1社のサービス・路線を圧倒的に多く使っている
→ 合理性 ★★☆☆☆ / 快適性 ★★★☆☆ / 自由度 ★★☆☆☆
→ 使わないほうのステータスに年会費を払い続けることになる
おすすめ度: 「旅行・出張が年20回以上 + ANA/JAL両方使う」人なら
10年コストを納得の上で取り組む意義はある。
それ以外の方は、まず1本を深く育てることを当社は推奨します。
「両方持ち」の現実的な取得ロードマップ
両方を目指すとして、当社が現実的と考える順序を示します。
Step 1: SFC を先に取得する(1〜2年)
SFC は単年度修行で完結できる可能性があり、取得スピードが速い傾向があります。2028年4月のSFC PLUS 条件変更前に「SFC カードを保有した状態」を作っておくことで、PLUS/LITE の選択が後からできます。
詳細は SFC PLUS 維持できる人・できない人 完全判定ガイド を参照してください。
Step 2: JGC は日常LSP積み立てで分散取得(2〜5年)
SFC 取得後、JGCはLSP積み立てを日常の中で進める方法が取得コストを抑えやすいとされています。
- JAL CLUB-Aゴールド保有 → フライト時はJALを優先
- JAL Pay のショッピング活用 → LSPの小口積み立て
- セール運賃でのOKAルート修行 → 費用単価を下げる
この設計だと、SFC 取得完了から3〜5年後にJGC 達成というペースが現実的な試算になります。
Step 3: 維持フェーズは「支出の分配設計」が鍵
SFC PLUS を維持する年300万決済はANAカード集約が前提。JGCカードへの日常決済は最小化し、JAL フライト時のマイル積算と年会費維持に徹する設計が、コストを抑えつつ両方保有を維持できる方法です。
JGCとSFC、「どちらか1本」にするなら
本稿は「両方持ち」の検討記事ですが、「どちらか1本に絞るならどうする?」という問いにも触れておきます。
当社の見立てでは、「旅の頻度・路線・今後の出費設計」の3軸で決まるという整理が適切です。
| 判断軸 | JGC向き | SFC向き |
|---|---|---|
| 取得スピード | △ 長期戦 | ○ 短期集中可 |
| 維持コスト | ○ 年会費のみ(軽い) | △ 年300万決済(重い・2028以降) |
| アライアンス | ワンワールド | スターアライアンス |
| 主要路線 | 羽田・成田 JAL便多い路線 | ANA便が強い路線 |
| 改定リスク | ○ 維持条件は現状安定 | △ 2028年以降PLUS条件あり |
詳しくは JAL JGC は今、取りに行く価値があるか と ANA SFC が変わる ——「年300万決済」時代 を合わせてお読みください。
旅行・修行の予約窓口
JGC・SFC 修行の航空券や旅程をカードで決済することで、マイル積算とステータス修行を同時に進められます。
- JAL公式サイト —— JGC 修行ルートの航空券はJAL直販で予約するのが基本。LSP 積算条件の確認も公式が一次情報
- JALカード公式 —— JAL CLUB-Aゴールド等のJGC 前提カードの申込・ショッピングLSP積算の確認
- ANA公式サイト —— SFC 修行ルートの航空券。SFC PLUS 年300万決済判定の最新情報は公式FAQが一次資料
- 楽天トラベル —— 国内修行の宿泊先や周遊ルートのホテル比較に。修行旅程の宿泊コストを抑える際に有効
- じゃらん —— 国内修行ルートのホテル予約。セール・特集タイミングで宿泊コストを圧縮できることがある
- JALダイナミックパッケージ —— JAL便+宿泊のセット予約。JGC 修行フライトと宿泊をまとめて手配できる場合がある
余韻 —— 「両刀」は武器か、重荷か
マイル:「結局、両方取ったほうがカッコいいよね」
執事H:「お嬢様、カッコよさと費用対効果は別の尺度でございます。ただ、数字では測れない『どちらのラウンジも選べる余裕』は、確かに存在いたします。」
ポルト:「両刀の本質は、片方がぐらついた時にもう片方で立っていられる設計じゃ。SFC PLUS の300万達成に不安がある年は、JGCがあれば上級会員としての自分は維持できる。その安心感に、年会費を払う納得があるかどうかじゃ。」
当社の試算では、現金キャッシュフローだけで「両方持ちが合理的」と言い切れるラインは高いというのが率直な見立てです。
ただし、「1社の制度に縛られるリスクを分散する」という設計は、投資のポートフォリオ理論に通じる考え方です。SFC PLUS の維持条件が重くなる2028年以降を見据えると、JGC という「もう1本の足」の価値は、純粋な費用対効果以上の意味を持つ可能性があります。
「両刀」を選ぶかどうかは、旅の頻度・路線・家計の余力・制度改定リスクへの感受性を自分なりに整理した上での判断になります。本稿の数値が、その整理の一助になれば幸いです。
参照(情報基準日 2026-05-25)
- ANA SFC PLUS / LITE 制度概要 公式
- JAL Life Status プログラム 公式
- JAL Life Status プログラム JGC 達成基準 公式
- ANA 国際線ラウンジサービス 公式
- JAL 国内線サクララウンジ 有料サービス
この記事をもっと深めたい人へ — 本と映像のすすめ
記事の整理だけでは足りない人向けに、関連する書籍と映像作品を置いておきます。
- マイレージ、マイライフ (2009)
ジョージ・クルーニー主演。出張とマイルに人生を捧げる男の物語。マイラーなら一度は観ておきたい一本。 - グランド・ブダペスト・ホテル (2014)
ウェス・アンダーソン監督。旅情あふれる名門ホテルを舞台にした極上の一本。滞在の美学を味わえる。 - LION/ライオン 25年目のただいま (2016)
実話ベース。長い旅路の果てに故郷へ帰る物語。移動と記憶の重なりが胸を打つ。
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