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銀行で勧められるiDeCoの落とし穴

INVEST · 情報基準日 2026-05-30 · 約3,500字 · 約7分

本記事の立場: iDeCoは老後の資産形成に有効な制度です。本記事は「銀行でiDeCoに加入することが悪い」と主張するものではありません。「どういう仕組みで、どういう点に注意が必要か」を整理し、自分で判断するための材料を提供します。


iDeCo(個人型確定拠出年金)は、掛金が全額所得控除になる点で、税制メリットの大きい制度です。2024年の制度改正で会社員の掛金上限が引き上げられたこともあり、関心が高まっています。

窓口での申し込みが手軽な銀行は、iDeCoの加入経路として選ばれることが多くあります。ただし、銀行でiDeCoに加入する場合に押さえておきたい論点が3つあります。

ポルト:「iDeCo、はじめてみようかと思って銀行に相談したんじゃが……勧められた商品が定期預金だったんじゃ。」

執事H:「ポルト様、それは珍しい話ではございません。まず、銀行が提供するiDeCoの構造を整理しましょう。」

論点1:手数料の構造を知る

iDeCoには、加入者が負担する手数料が複数あります。

全金融機関共通の手数料(2026-05-30時点)

手数料金額タイミング
国民年金基金連合会への加入手数料2,829円(初回のみ)加入時
国民年金基金連合会への事務手数料月66円毎月
信託銀行手数料月66円毎月

上記は全機関共通のコストです。つまり、どの金融機関で加入しても最低でも月132円(年1,584円)の固定費がかかる仕組みです。

金融機関ごとに差がある「運営管理手数料」

上記に加えて、加入先の金融機関が独自に設定する「運営管理手数料」があります。

この差は長期で積み上がります。たとえば月200円の差であれば、30年間で約72,000円のコスト差になります。

編集部注: 手数料は金融機関によって異なり、また変更される場合があります。

申込前に各機関の公式サイトで最新の手数料を確認してください(2026-05-30時点)。

論点2:商品ラインナップの偏り

iDeCoで選べる商品は、金融機関ごとに異なります。

法令上の上限は35本ですが、実際に揃えている本数や種類は機関によって大きく違います。

一般的な傾向(2026-05-30時点)

金融機関タイプラインナップの傾向
ネット証券(大手)インデックスファンドを含む20〜35本程度。信託報酬の低い商品が揃う傾向
都市銀行・地銀自行・提携の投資信託・保険商品が中心。本数が少ないケースも
保険会社系保険型の元本確保型商品を中心に構成

「選べる商品が少ない」ことの何が問題かというと、信託報酬(投資信託を保有し続ける間かかるコスト)が低い商品を選べない可能性があるという点です。

たとえば、信託報酬0.1%未満のインデックスファンドが選べる機関と、信託報酬1%超の商品しか選べない機関では、同じ掛金・同じ運用期間でも最終的な資産額に差が生じます。

ポルト:「商品の本数より、コストの低い商品があるかどうかが大事ということじゃな。」

執事H:「おっしゃる通りです。本数の多寡よりも、信託報酬の水準と商品の種類を確認されることをお勧めします。」

確認のポイント

申込前に、加入を検討している金融機関のiDeCo商品一覧で以下を確認することを推奨します。

論点3:元本確保型への誘導

銀行のiDeCo窓口では、定期預金型や保険型の「元本確保型商品」を勧められるケースがあります。

元本確保型の特徴

元本確保型で抑えておきたい点

インフレリスク: 金融商品としての元本は確保されますが、物価が上昇した場合、購買力は目減りします。たとえば年率2%のインフレが30年間続くと、現在の100万円の購買力は約55万円相当になります。この「実質的な目減り」は、元本確保型でも発生します。

機会コストの視点: iDeCoは原則60歳まで引き出せない長期積立制度です。長期運用で期待値の高い資産に投資できる期間を、低利回りの商品で過ごすことの機会コストも試算の対象になります。

ただし、元本確保型が適切なケースもある: 受取まで数年以内の方、リスク許容度が低い方、すでに他の手段で十分な資産形成ができている方にとっては、元本確保型のiDeCoを選ぶ合理性がある場合もあります。

ポルト:「なぜ銀行は元本確保型を勧めやすいんじゃろう?」

執事H:「複数の要因が考えられます。窓口担当者にとって、リスクをめぐるトラブルが少ない商品を案内する合理性があることと、自行の預金・保険商品への親和性などが組み合わさっています。

担当者が『悪意を持って勧める』というより、そういった構造があることを知っておく方が建設的でございます。」

銀行でiDeCoに加入すること自体は「悪」ではない

ここまで3つの論点を整理してきましたが、強調しておきたいのは「銀行でのiDeCo加入=損」という単純な話ではないという点です。

銀行iDeCoが現実的な選択肢になるケース:

ネット証券iDeCoが現実的な選択肢になるケース:

重要なのは「どの金融機関で加入するか」を決める前に、手数料・商品ラインナップ・加入後の変更手続きを自分で確認しておくことです。

iDeCo全体のコスト感を試算する

iDeCoの税制メリット(所得控除)と手数料・信託報酬のコストを比較するイメージを整理します。

所得控除メリットの試算例(あくまで概算):

コストの試算例(概算):

編集部注: 上記はあくまで構造を理解するための概算です。実際の節税効果は所得・扶養・各種控除により異なります。個別の試算は金融機関や税理士に確認することを推奨します(2026-05-30時点)。

ポルト:「税制メリットは確かに大きいのう。ただそのメリットを手数料で削らないようにする、ということか。」

執事H:「正確には『削る量をコントロールする』という表現が適切でございます。コストゼロは難しいですが、コストを意識した選択は可能です。」

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MP視点:iDeCo選択で整理すべき3点

iDeCoを「どこで加入するか」を決める前に、整理すべき3つの論点を改めてまとめます。

論点確認すべき内容
手数料運営管理手数料は月いくらか。共通手数料との合計を試算する
商品ラインナップ信託報酬の低いインデックスファンドが揃っているか
商品選択元本確保型と運用型の違いを理解した上で自分で選んでいるか

自分の状況に合った選択をするために、加入前にこの3点を確認することを推奨します。

関連記事:

情報基準日 2026-05-30。記載内容は変更される可能性があります。iDeCoへの加入・変更前に必ず各金融機関の公式サイトおよび厚生労働省の公式情報で最新情報をご確認ください。

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